「電池」といっても、世の中にはたくさんの種類の電池があります。
ここでは、そのうち日常よく関わることの多い乾電池やバッテリーなどの「化学電池」を産業廃棄物として処理する場合の方法と保管方法について解説していきます。
電池の種類
ここでは、まず、電池の種類を紹介していきます。電池は、「化学電池」・「物理電池」・「生物電池」に3つに大きく分けられます。
化学電池
「化学電池」は、日常的によく使用している「乾電池」がその代表例です。
「化学電池」は、電池内部にある化学物質を反応させ、それを消費することによって発生する「化学的エネルギーから」電気的エネルギーを発生させるものです。
当然、その化学物質を使いきってしまうと電気的エネルギーをつくれなくなります。
また、構造・内部の化学物質の差異により、「一次電池」と「二次電池」に分類されます。
一次電池
「一次電池」は、一度放電したら,充電によってもとの状態に戻すことのできない電池のことです。
アルカリ電池・マンガン乾電池・水銀電池・リチウム電池・酸化銀電池などが挙げられます。
簡単に言えば、使い捨て電池のことです。なお、よくあるボタン電池の多くはこうした一次電池です。
二次電池
「二次電池」は電気を起こす力を使い切ったとしても、充電する(外部から電気を送り込む)ことで、一回限りではなく繰り返し使える電池のことをいいます。蓄電池や充電式電池ともいいます。
具体的には、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池と呼ばれる電池がこれにあたります。日常的には、携帯電話やノートパソコンなどに使用されています。
物理電池
化学電池は化学物質を反応させた電気化学反応を利用して「化学的エネルギーから」電気的エネルギーを発生させました。
今度の物理電池は熱や太陽の光といった「物理的エネルギーから」電気的エネルギーをつくる電池のことを言います。
最近普及してきている太陽電池パネル(ソーラーパネル)などがこれに該当します。
生物電池
その名のとおり、生物の機能を利用した電池になります。
日本人でしたら、主として、お米などの炭水化物からエネルギーを得て、脳や体を動かしています。
こうした人間のエネルギー取得手段と同じような方法で酵素や微生物の生化学的なエネルギーを使って電気をつくるのが「生物電池」です。(バイオ電池とも言います)
より簡潔に言えば、「生命のエネルギから」電気的エネルギーを取り出す機械というとわかりやすいかもしれません。
この「生物電池」は安全性が高く、特に、廃棄物の問題もないです。そして、二酸化炭素の排出量が少ないうえに、希少元素も使わないわけなので、環境に優しい電池と言えます。
このようにメリットも多いですが、実用化にはまだまだ課題が多いと言われています。
電池の保管方法(化学電池)
事業活動により排出される電池は、産業廃棄物として処理しなければなりませんが、処理が終わるまでの保管がとても重要です。
特に、日常生活に密接な「化学電池」は化学物質を内部に含むので、その性質を理解して保管・処分するのが重要です。
例えば、針金などの金属一緒に電池と保管されていて、何かの拍子に電池のプラス極とマイナス極が電気的につながってしまうと、当然、ショートして発火や発熱してしまい、大変危険です。
保管している建物や収集運搬車両の火災につながる可能性があります。
電池を捨てるつもりで大量に保管しておくと、このようなリスクは高まります。溜め込まないで、早く処理することが先決です。
しかし、どうしても保管しなければならない状況であれば、電池のプラス極とマイナス極それぞれにビニールテープを何回か巻いて絶縁しておくようにすれば安全ですので、必ず絶縁するようにしてください。
なお、直射日光の当たる場所に置くと液漏れる恐れがあるため避けてください。
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家庭での「電池」の処理方法
一般家庭で出た電池を廃棄する場合、一般廃棄物として処理します。
電池は上記で説明したとおり、たくさんの種類があり、その種類ごとに、適切な廃棄方法で処理する必要があります。
家庭で出る廃電池の多くは、「化学電池」であり、①一次電池(使い捨て電池)②二次電池(充電式電池)の2種類です。
まず、一次電池は、乾電池やボタン電池などの形状がありますが、それぞれについて家庭で廃棄するとなったらどのようにしないといけないかについて説明します。
乾電池の廃棄方法
家庭の様々な場面で使用されるアルカリ乾電池・マンガン乾電池・リチウム電池についてのお話です。
これらは、燃えないごみ・有害ごみ・危険ごみなどで各市町村のごみの日に出し、処理してもらいます。
また、自治体によっては、自治体の各施設・一部のスーパーなどに設置してある「乾電池回収ボックス」に入れて処理してもらうこともできます。
乾電池をごみとして出す方法も市町村によって様々なので、ご自身がお住いの市町村による方法をよく確認するようにしてください。
ボタン電池の廃棄方法
ボタン電池は、原則、乾電池のように市町村のごみの日に出せません。
ボタン電池には、少量ですが、水銀が含まれているので、適正処理が必要となります。
電器店や時計店等回収協力店に設置されているボタン電池回収ボックスに入れるようにしてください。
コイン形リチウム電池の廃棄方法
コイン形リチウム電池はボタン電池と見た目が似ていますが、ボタン電池と比べ、厚みがなくより平たい形状をしています。
間違いやすいですが、当然、違う物なので異なる処理方法になり、正しくそれぞれを判断できなくてはいけません。
具体的な見分け方としては、電池の表面にある型番に注目してください。CRあるいはBRからはじまる型番であれば、コイン形リチウム電池となります。
コイン形リチウム電池は、形状の違いと同様に、水銀を含んでいない点もボタン電池と異なりますし、リチウム電池の一種なので、前述のように乾電池と同様に市町村のごみの日に出すことができます。
充電式電池のの廃棄方法
家庭で出る充電式電池は、主に、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの小型充電式電池です。
小型充電式電池をはじめ充電式電池は、法律によって回収・リサイクルが義務とされています。
具体的には、小型充電式電池には、リサイクルマークがついています。
したがって、リサイクルマークがついて電池は電器店など回収協力店に設置してある「リサイクルボックス」に入れてリサイクルしてください。
いずれの電池においても、廃棄するのであれば、電池のプラス極とマイナス極それぞれにビニールテープを何回か巻いて絶縁してするようにするのが安全です。必ず絶縁するようにしてください。
事業活動で排出した「電池」の品目と処理
企業などの事業活動で排出される電池は、産業廃棄物です。この産業廃棄物の処理ついては、企業などの排出事業者に処理責任があります。
前述のように発火・発熱等のリスクがあるので、産業廃棄物処理業の許可業者に処理を委託されるのがよろしいかと思います。
ここでは、電池を産業廃棄物として処理委託する場合の品目は何かについて中心に説明します。
乾電池
これは、上記の説明により一次電池にあたります。
事業者が乾電池を産業廃棄物として処理する時に、品目はどのように判断したら良いでしょうか?乾電池の各部分について整理してみます。
炭素棒(黒鉛)・二酸化マンガン・塩化亜鉛など:「汚泥」
炭素棒は、「炭」という言葉から「燃え殻」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、「汚泥」となります。
二酸化マンガンと炭素棒(黒鉛)は共に黒色です。電池内部にある黒色の物の品目は「汚泥」として取り扱われているということです。
このように、乾電池は「金属くず」と「汚泥」の混合物として処理することになります。
したがって、業者に委託する場合は、「金属くず」と「汚泥」の品目の処理業の許可を持った業者に委託しなければなりません。
また、電池品番の最初のアルファベットが「NR」「MR」であれば、水銀電池となります。
こうした表示されている乾電池を産業廃棄物として処理する時には「水銀使用製品産業廃棄物」として処理しなければなりません。
バッテリー(鉛蓄電池)
今度は、バッテリー(鉛畜電池)についてです。これは、上記の説明により二次電池にあたります。
自動車のバッテリーなどに主に利用されています。また、ビルなどの施設において非常用電源として変電室などに置かれて利用されています。
このバッテリー(鉛畜電池)を産業廃棄物として処理する時に、品目はどのように判断したら良いでしょうか?
こちらもバッテリーの各部分について整理してみます。
極板、端子等:金属くず
希硫酸:廃酸(特別管理産業廃棄物)
このように「廃プラスチック類」「金属くず」及び「廃酸(特別管理産業廃棄物)」の混合物にとして処理することになります。
電解液の希硫酸はpH2.0以下なので特別管理産業廃棄物の「廃酸」にあたります。
これは、腐食性のある廃酸なので、これを入れる樹脂ケースは耐腐食性のプラスチックであるので、「廃プラスチック類」となります。
したがって、業者に委託する場合は、「廃プラスチック類」と「金属くず」の品目の産業廃棄物処理業の許可と「廃酸(特別管理産業廃棄物)」の品目の特別管理産業廃棄物処理業の許可を持った業者に委託しなければなりません。
なお、分別した極板に関しては、鉛再生資源として有価で取り扱われれば有価物になり廃棄物ではありません。
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