塗装(塗る)工程で出る廃棄物
一般的な建築等の塗装はもちろんブラスト工事の塗膜をはがした後の塗装(塗る)工程においても、塗装するわけなので、それに伴う廃棄物の処理を考えなくてはなりません。
具体的には、余ったり、使用済みの塗料等(廃塗料)や溶剤(シンナー等「廃溶剤」)が生じます。
廃塗料・廃溶剤の品目
それでは、余ったり、使用済みの塗料等(廃塗料)や溶剤(シンナー等「廃溶剤」)を産業廃棄物として自分以外の許可業者にその処理を委託する場合に、具体的にどのような品目が必要かを見ていこうと思います。
廃塗料とその分類
塗料は、水性塗料と油性塗料に分類されますが、さらにそれぞれの性状及び成分により廃棄物の品目が変わってくるので、注意しましょう。
そもそも塗料というのは、塗膜を着色する役割をする「顔料」と、耐久性・塗膜を形成するなどの役割をする「樹脂」と、ツヤがある塗料のツヤを消す等の特別な機能を付加するための「添加物」によって構成されています。
また、塗料として使うための溶媒として、水性塗料は水、油性塗料は、有機溶剤があります。
こうしたものを考えながら、どのような品目が必要なのかを考えていきます。
共通する品目が廃プラスチック類
上記のように、水性塗料、油性塗料ともに「樹脂」が構成要素として含まれ、特に、品質を影響を与えるものとして、合成樹脂(アクリル樹脂・ウレタン樹脂・シリコン樹脂・フッ素樹脂等)が外装用塗料(上塗り塗料)として使われます。
合成樹脂は、合成高分子化合物です。そして、合成高分子化合物に係る固形及び液状の全ての廃プラスチック類が廃プラスチック類という品目です。
したがって、水性塗料、油性塗料ともに廃プラスチック類の品目で許可を取得する必要があります。
水性塗料は、廃酸又は廃アルカリを追加
水性塗料には、酸性・アルカリ性のものがあり、弱アルカリ性が多いかと思います。
したがって、水溶性塗料は、「廃プラスチック類」と「廃酸又は廃アルカリ」の混合物としてその品目を考えます。
基本的には、水性塗料は、酸性・アルカリ性でどちらとも水によく溶ける無機物質です。(水性)
性状を考えると、水に溶かして、水性塗料を含まれた汚水は「汚泥」の品目として適切に処理することになります。
油性塗料は、廃油を追加
有機物質は炭素を含む化合物で「油」など水に溶けないものが多く、有機溶媒(有機溶剤)には溶けます。
より正確に言えば、水に溶けないものを溶かすという意味にとどまらず、物質を溶かすことを目的に用いられる液体の有機物は全て有機溶媒となります。
有機溶媒は、「物質を溶かすための専門の物質」で、非常に強力かつ危険なものです。
吸い続けるだけでも人体にも有害な物質といえるもので、十分な管理が必要なものです。
また、例外もありますが、基本的には、有機物は火をつけると燃えるものです。具体的にいうと、シンナーのようなものです。
油性塗料の廃液には通常はこの有機溶媒が含まれています。
したがって、品目として「廃プラスチック類」と「廃油」(特別管理産業廃棄物でない廃油)混合物ということになります。
有機溶媒の引火点が70度未満などの場合
ただ、有機溶媒がそのシンナーそのものであれば、引火点が70度未満ですので「特別管理産業廃棄物の廃油」が品目です。
その場合は、引火性が高いので処理のみならず、保管までも注意が必要な廃棄物になります。
委託処理をするのであれば、特別管理産業廃棄物の廃油の収集運搬、処分の許可を持っている業者に委託しなければなりません。
しかし、シンナーが一部分しか含まれていないような場合は、法律で明確に何%含まれていたら特別管理産業廃棄物の廃油ですなどとは示されていません。
各自治体に問い合わせをするのが確実です。
性状に注目する
なお、性状に注目すれば、油性塗料が固形化した場合は、合成高分子化合物に係る固形状の廃棄物であるので、その品目は「廃プラスチック類」になります。
また、泥状の場合は、品目は「汚泥」になります。
さらに、泥状の場合でも油分を5%以上含む時は、その品目は「汚泥」と「廃油」の混合物となります。
加えて、ペール缶等に入れたままでこれらの廃塗料(水性・油性の廃塗料)の収集運搬・処分を委託するのであれば、品目に「金属くず」を追加する必要があります。
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