「造園工事業」と「園芸サービス業」のどちらか確認
造園業に関しては、その事業内容によって総務省が発表している日本標準産業分類に基づくと、「造園工事業」と「園芸サービス業」と紛らわしい分類があります。
造園業をこれからはじめようという方も、既に造園業を営んでいる方も、事業から生じる廃棄物の取扱いが異なりますのでどちらに分類されるのかを再度確認しましょう。
造園業(園芸サービス業)で発生する植木くず
排出される植木くずは一般廃棄物
造園業者さんが庭木、街路樹などの「手入れ」で剪定などすることで剪定枝(せんていし)などの植木くずが発生します。
植木くずは、造園業という事業活動に伴って発生した廃棄物ですし、産業廃棄物の「木くず」という品目があるので、産業廃棄物だと思われた方いらっしゃるかと思います。
しかし、結論から言えば、剪定枝は産業廃棄物でなく、一般廃棄物(事業系一般廃棄物)に該当します。
産業廃棄物の「木くず」という品目には、業種指定があり、建設業、木製品製造業、パルプ製造業などが排出した「木くず」のみが産業廃棄物になります。
上記の場合の造園業者は、「園芸サービス業」(主として請負で築庭、庭園樹の植樹、
したがって、この場合の造園業者は、建設業などの業種に該当しませんので、造園業者が植木くずは産業廃棄物に該当せず一般廃棄物となります。
園芸サービス業で発生する植木くずの運搬方法
自社運搬する
造園業者(園芸サービス業)が、仕事で出した植木くずを文字通り一般廃棄物収集運搬業の許可業者に収集運搬の委託せずに、「自らが」市町村の清掃センターなど指定処理施設に収集運搬する場合です。
この場合、法律に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。
なお、一般廃棄物の場合、施行令第三条第一号ニに、船舶に関する規定しか記載がないので、造園業者(園芸サービス業)が車両で運搬する場合、基本的には、産廃と同じような法定記載事項である産業廃棄物情報を記した書類の携帯(書類の携帯義務)や収集又は運搬の用に供する運搬車である旨を初めとする表示(車両の表示義務)の義務はありません。
しかし、市町村ごとの裁量により条例等の規制がある場合があるので、一般廃棄物の収集運搬車には表示等の必要がある場合があります。
したがって、こうした事業系一般廃棄物について対応や義務については、市町村に確認するようにしてください。
許可業者に委託する
自社で運搬しなければ、一般廃棄物収集運搬業の許可業者に収集運搬の委託をする必要があります。
委託契約にあたっては、産業廃棄物と違い、委託契約書の作成は不要ですし、原則としてマニフェストの運用も不要です。
しかし、委託契約書の作成は、契約完了や責任の所在を明らかにする意味でも作成したほうがよろしいかと思います。
また、マニフェストの運用も条例等で運用を求めている市町村もあるので、十分に注意しましょう。
造園業(造園工事業)で発生する植木くず
排出される植木くずは産業廃棄物
一方、同じ造園業でも、整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造ならびに維持管理するための専門の工事を行う事業内容であれば、「建設業」のうちの「造園工事業」に該当します。
建設業に該当しますので、当該事業から発生した植木くずは産業廃棄物となります。
その他建設工事の下請け工事の過程で発生する木くず
なお、建設工事の下請けなどによる生木(なまき)の伐採、抜根の掘り起こしなどで発生する木くずは、建設業に該当する事業活動に伴って生ずる木くずに該当します。
したがって、当該事業から発生した植木くずは産業廃棄物となります。
元請が下請工事で排出している木くずをどう処理するか
建設工事において、元請業者が産業廃棄物の排出事業者として、その適正な処理をする責任があります。
元請業者が下請業者で「造園工事業」または「その他建設工事」を行っている事業者に、産業廃棄物の収集運搬も委託する場合には、その事業者は産廃収集運搬業許可でなければなりません。
したがって、下請業者で「造園工事業」または「その他建設工事」を行っている事業者の方は、「木くず」の品目で産業廃棄物の収集運搬業許可を取得しておく必要があります。
もちろん、元請業者ご自身で産業廃棄物の収集運搬業する場合には、許可は不要です。
ただし、その場合でも、産業廃棄物を収集運搬することに変わりはありませんから、前述した「書類の携帯義務」「車両の表示義務」を怠らないようにしてください。
まとめ
造園業の事業内容によっては産廃収集運搬業の許可の有無に違いがあります。
まず、築庭、庭園樹の植樹、
また、庭園、公園、緑地等の苑地を築造ならびに維持管理するための専門工事を行う事業であれば、「建設業」のうちの「造園工事業」に該当するので、排出される植木くずは「産業廃棄物」として適正に処理をします。
建設工事の下請け工事の過程で発生する木くずは、建設業に該当する事業活動に伴って生ずる「木くず」に該当するので、「産業廃棄物」として適正に処理をします。
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