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下請業者に許可が必要な理由

建設業では、元請業者のコンプライアンスの遵守の高まりから、工事の受注要件として収集運搬業許可を求められたという下請業者さんも多いかと思います。

しかし、こうしたコンプライアンスの遵守の高まりが根本的な下請業者に許可が必要な理由ではありません。

実際に工事をしているのは、元請業者ではなく、その元請業者から工事を請負った下請業者や孫請業者等です。

ここで注意したいのが、廃棄物処理法によれば、建設工事で排出される産業廃棄物の排出事業者は、実際に工事をしている下請業者ではなく、元請業者ということです。

廃棄物処理法上、排出事業者に排出した産業廃棄物の処理責任があります。(産業廃棄物を排出してから処分されるまでが適切であることに対する責任)

※処理責任の「処理」には収集運搬が含まれます。よって、当然に、排出事業者には、適切に収集運搬する責任もあるということです。

したがって、その産業廃棄物を適切に収集運搬する責任は排出事業者である元請業者にあります。元請業者で適切に収集運搬するのであれば許可はいりません。

しかし、自分の排出した産業廃棄物を他人である下請業者に委託して運搬させるには、その下請業者は収集運搬業許可を取得した業者でなければできません。(適切に処理できる所に委託しなければならないということです)

ここに収集運搬業許可を元請業者が下請業者に求める理由があります。

解体工事業とその品目

解体する建物には、鉄骨造建物、木造建物など様々な種類がありますが、

それらの建物を一般的に解体した時には、プラスチック、紙くず、木くず、繊維、鉄くず、ガラス、コンクリートがら、石膏ボード類などの産業廃棄物が排出されます。

こうしたものを考慮すると、一般的に取得すべき品目は、以下の通りになります。

 

  1. 「廃プラスチック類」(廃合成建材(タイル、断熱材、合成木材、防音材等)、塩ビ管、パッキンくず、コ-キングくず(液状のものは除く)、廃発泡スチロール、合成紙くず、廃合成繊維くず(ナイロン、ポリエステル、アクリル等)、塗料かす、接着剤かす等)
  2. 「紙くず」(建材の包装材、壁紙くず、障子紙くず、ダンボ-ル等 )
  3. 「木くず」(木造解体材、内装撤去材等)
  4. 「繊維くず」(畳・じゅうたん・カーテンなど
  5. 「金属くず」(鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、ボルト類、番線くず、電線、スチ-ルサッシ、アルミサッシ等 )
  6. 「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」(ガラスくず、コンクリートくず、インターロッキングブロックくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、耐火レンガくず等)
  7. 「がれき類」(コンクリート片、アスファルト片、外壁材など)

 

※レアなケースかと思いますが、事業計画によって、生ゴムなど天然ゴムくずが含まれるものが排出される場合は、上記ににゴムくず追加できる可能性もあります。

なお、関連する内容として、解体工事における残置物(建物の所有者が残していった残存物)についてはこちらの記事が参考になります。

土木工事業とその品目

土木工事の場合も、当然、その工事の内容によりますが、解体工事同様の品目がベースとして考えられます。

  1. 「廃プラスチック類」
  2. 「紙くず」
  3. 「木くず」
  4. 「繊維くず」
  5. 「金属くず」
  6. 「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」
  7. 「がれき類」


土木工事業の場合に、これらに加えて、以下の3つが必要になることも多いです。

  1. 「汚泥」(カッター工事でカッターにかけて排出される汚濁水(カッター汚泥)、掘削汚泥等)
  2. 「廃油」(重機の機械油)
  3. 「廃アルカリ」(カッター工事で排出されるコンクリートやアスファルトのカッター廃液)

 

カッター汚泥について

カッター工事でカッターにかけて排出される水は、アスファルト粉や骨材粉混じりの汚泥になります。この汚泥は、発がん性物質を多量に含んでいますので産業廃棄物として適正な処理が求められます。

品目について考えてみると、こうした切断汚泥には、廃油成分(鉱物油:アスファルト固形油)が含んだpH9~10程度のものなので、中間処理施設で脱水分離された水は「廃アルカリ」に該当します。(「カッター廃液」)

なお、脱水された汚泥は、品目として「汚泥」に該当するわけですが、「5%以上の廃油成分」が含まれるため、焼却処分が必須になります。(「カッター汚泥」)

したがって、道路舗装をする業者の方は、収集運搬業許可を取得する際には、「廃アルカリ」と「汚泥」という品目を取ることになります。

一方、乾式切断(水を使用しない切断)で発生した「粉じん」についても、アスファルト固形油が含まれています。

アスファルト固形油は、一定の温度を超えると流動化し、発がん性物質を多量に含んでいますので、この粉じんを品目を「汚泥」とする自治体もあります。(「がれき類」とする自治体もあります)

 

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