「産業廃棄物」と聞くと、なんだか難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
多くの中小企業の経営者様や、会社で新しく廃棄物処理を担当することになった方にとって、「これってどんな廃棄物?」「どうやって処理すればいいの?」と迷うことは多いはずです。しかし、誤った処理方法をしてしまうと、環境を汚染するだけでなく、会社の信用を損なったり、法律で罰せられたりする可能性もあります。
この記事では、そんな「産業廃棄物」について、初めて学ぶ方が大枠を理解できるように、分かりやすく解説していきます。一般廃棄物との違いから、どのような種類の廃棄物が産業廃棄物になるのか(全部で20種類もあります)、そして正しい処理方法まで、知っておくべき基礎知識を網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、貴社から排出される廃棄物が、どのように分類され、どう処理すれば良いのか、判断できるようになると思います。
この記事のポイント
- 産業廃棄物がどのような廃棄物かと、家庭から出る廃棄物との違いが明確に理解できます。
- 産業廃棄物の20種類の具体的な分類と、それぞれの具体例が分かります。
- 「特別管理産業廃棄物」という特に危険な廃棄物の危険性と、厳重な管理が必要な理由を学ぶことができます。
- 事業者が廃棄物を排出する者(排出事業者)としての責任と、正しい処理のために何をすべきかが分かります。
目次
そもそも産業廃棄物って何だろう?定義と基本をやさしく解説!
まず、産業廃棄物が何かということに触れる前に、その言葉の一部分を構成する「廃棄物」という言葉を理解しておくと良いです。そこで「廃棄物(はいきぶつ)」という言葉の基本的な意味から確認します。
その上で、「産業廃棄物」が具体的に何を指すのかをしっかりと理解することが、正しい廃棄物処理の第一歩となります。
「廃棄物」って何?「もったいないもの(有価物)」との違い
廃棄物処理法(廃掃法)では、「廃棄物」は、廃掃法第2条では「不要となった物で、固形状または液状のもの」と定義されています。この条文は、一般的には「自分で使えない、他人に有償で売ることもできないため不要になったもの」と解釈できます。
※ただし、次のものは「廃棄物」に該当しません。
- (1)気体状のもの
- (2)放射性物質及びこれによって汚染されたもの
- (3)港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
- (4)漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行った現場付近において排出したもの
- (5)土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
つまり、自分で利用できるもの、または売ってお金になるものは「有価物(ゆうかぶつ)」と呼ばれ、廃棄物とは区別されます。
この「廃棄物か、有価物か」の判断は、「総合判断説」という5つのチェックポイントを総合的に見て決定されます。
- 持ち主の意思:廃棄物を排出する者が「もういらないから捨てたい」と思っているか?
- そのものの性状:汚染、損傷の有無、有害性、危険性など。
- 排出の状況:通常の製品としてではなく、大量に排出されたものかなど。
- 客観的な価値:市場において有償で取引されているものか?
- 占有者の処分状況:実際に廃棄物として処分されているか、それとも再生利用されているか?
このうち客観的な価値だけで言えば、例えば、古紙、鉄くず、スクラップ金属、リサイクル可能なプラスチックなどで、市場価値があるものは有価物となります。しかし、見た目には価値がありそうでも、誰も引き取ってくれなかったり、売れるお金よりも処理にかかる費用の方が高かったりすると、「これは廃棄物だ」と判断されることもあります。
これらのチェックポイントをすべて考慮し、「客観的に見て、本当に不要なものかどうか」が決められます。
「廃棄物とは簡単に言うと何ですか?」の答えと分類
このように、「自ら利用も、他人に有償で売却もできないために不要になったもの(固形状又は液状のもの)」が廃棄物です。「廃棄物とは簡単に言うと何ですか?」と聞かれ、あえて日常的に説明するなら、「いらなくなったもの」と考えると理解しやすいでしょう。
そして、この廃棄物は大きく分けて「一般廃棄物(いっぱんはいきぶつ)」と「産業廃棄物(さんぎょうはいきぶつ)」の2種類に大別されます。さらに、「産業廃棄物」は危険性や処理方法などの要素によって「産業廃棄物」のうち「特別管理産業廃棄物」にあたるものがあります。
- 一般廃棄物:家庭から出る廃棄物(生ごみ、ペットボトルなど)や、会社やお店から出る廃棄物のうち、産業廃棄物ではないものを指します。
※さらに、これら一般廃棄物のうち、毒性・感染性・火災性などの有害性が高く、処理や保管に特別な注意が必要なもの は、「特別管理一般廃棄物 」と呼ばれ、法律上より厳しい管理が求められます。 - 産業廃棄物:会社やお店などの「事業活動」から排出された廃棄物のうち、政令(廃棄物処理法施行令)で “産業廃棄物”として指定された20種類 の廃棄物を指します。
※さらに、これら産業廃棄物のうち、毒性・感染性・火災性などの有害性が高く、処理や保管に特別な注意が必要なもの は 「特別管理産業廃棄物」 と呼ばれ、法律上より厳しい管理が求められます。(後述)
つまり、産業廃棄物については、法律(廃掃法)が「廃棄物」の枠組み・原則を定め、政令(施行令)がその中で産業廃棄物とみなす具体的な種類(20種)を示しています。
一般廃棄物って何?家庭の廃棄物と事業所の廃棄物による分類
前述したとおり、一般廃棄物は、家庭から出る廃棄物(生ごみ、ペットボトルなど)や、会社やお店から出る廃棄物のうち、産業廃棄物ではないものを指しますが、その一般廃棄物は、主に次の2種類に分けられます。
- 家庭系一般廃棄物(家庭ごみ):家庭から排出される、日常生活に伴う生ごみ、プラスチック容器、紙類、大型家具などの粗大ごみといった、生活の中で不要となった廃棄物を指します。
- 事業系一般廃棄物:会社やお店などの「事業活動」から排出される廃棄物のうち、政令で定める産業廃棄物20種類に該当しないものを指します。
事業系一般廃棄物は、各市町村が定めたルールに従って収集されたり、処理されたりするのが一般的です。
一般廃棄物と産業廃棄物の違いとは?簡単に見分けるポイント
産業廃棄物と一般廃棄物(家庭や事業活動から出るが産業廃棄物ではないもの)の区別は、しばしば混同されやすいものです。
しかし、これらは法律での取り扱いが全く異なるため、正確に見分けられるようになることが非常に重要です。
産業廃棄物と一般廃棄物の違い「見分けるための基準」
産業廃棄物と一般廃棄物の違いを見分けるための、最も重要な基準は、「どこから排出された廃棄物か(発生源)」と「どのような廃棄物の種類か」です。
廃棄物処理法施行令では、会社やお店の「事業活動」によって排出された廃棄物のうち、特に「この20種類の品目である」と指定された廃棄物のみを「産業廃棄物」と定義されます。この20種類に該当しない、会社やお店から排出された廃棄物は、一般廃棄物(事業系一般廃棄物)として扱われることになります。
例えば、レストランから出る食べ残しの生ごみや、オフィスから出る通常の紙くず(特定の業種から排出される紙くずを除く)は、事業活動から排出された廃棄物ですが、産業廃棄物には該当しないため「事業系一般廃棄物」として扱われます。
貴社から排出される廃棄物が、産業廃棄物なのか一般廃棄物なのかを判断するには、次の2つの質問を検討してみてください。
①会社やお店の活動(事業活動)によって排出された廃棄物か?
②廃棄物処理法施行令(政令)で定められた20種類の産業廃棄物のいずれかに該当するか?
この2つの質問のうち、
①②どちらも「はい」と答えられる場合、その廃棄物は産業廃棄物です。
①が「いいえ」(=家庭から排出されたもの)であれば「家庭系一般廃棄物」。
①が「はい」で②が「いいえ」の場合は「事業系一般廃棄物」 となります。
つまり次のように分かれます
| 事業活動? | 産廃20種類? | 結果 |
|---|---|---|
| はい | はい | 産業廃棄物 |
| いいえ | ― | 家庭系一般廃棄物 |
| はい | いいえ | 事業系一般廃棄物 |
産業廃棄物と一般廃棄物の違い「法規制」
産業廃棄物と一般廃棄物は、処理に適用される法律や管理の主体が全く異なります。
-
一般廃棄物
市町村が管理主体となり、家庭や事業所から出る廃棄物を収集・処理します。市町村は処理計画を策定し、処理業者や住民に処理を委託します。 -
産業廃棄物
排出事業者(会社など)が、自らの責任で適正に処理する義務があります。処理を委託する場合は、都道府県知事または政令市長の許可を受けた処理業者に限られます。また、マニフェスト制度により廃棄物の流れを追跡する必要があります。
廃棄物を正しく分類し、法律に従った処理を行うことは、会社にとって 極めて重要な責務 です。
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産業廃棄物ってこんなにたくさん!全20種類の分類と具体例
法律(廃棄物処理法)では、「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体、その他の汚物または不要物で、固形状または液状のもの(放射性物質およびそれによって汚染されたものを除く)と定義されています。
少し前述したとおり、このうち「事業活動に伴って生じた廃棄物」の中で、政令(廃棄物処理法施行令)で定める種類のものが「産業廃棄物」とされ、その政令に具体的にどの種類を産業廃棄物とみなすかがリスト化されています。
ここからは、廃棄物処理法施行令で定められている「産業廃棄物の全20種類」について、どのような廃棄物が該当するのか、具体的な例を挙げながら詳しく解説していきます。
排出される廃棄物が、この中のどれに該当するのか、検討しながら読み進めてみてください。
産業廃棄物20種類を徹底解説!一覧表で確認
産業廃棄物は、大きく分けて「あらゆる事業活動に伴うもの(12種類)」と「排出業種が限定されるもの(7種類)」の2つのグループに分けられます。まずはこの全体像を把握しておきましょう。
| 分類 | 種類 | 具体例 | 理解のポイント |
|---|---|---|---|
| あらゆる事業活動に伴うもの(12種類) | 1. 燃え殻(もえがら) | 火力発電所の石炭灰、廃棄物焼却施設の残灰、コークス燃焼後の灰 | 一般廃棄物の灰とは異なり、大量発生や有害成分を含む可能性があり、厳重な管理が必要。 |
| 2. 汚泥(おでい) | 工場の排水処理で出るヘドロ、下水処理場の汚泥、建設工事の泥水 | 工場などから大量に排出される泥状物で、有害物質が含まれることもあるため注意。 | |
| 3. 廃油(はいゆ) | エンジンオイル、切削油、重油、ガソリン、動植物性廃油(工場由来) | 引火性や水質汚染の危険性があり、取り扱いに細心の注意が必要。 | |
| 4. 廃酸(はいさん) | 硫酸、塩酸、硝酸、めっき工場や化学工場から出る酸性廃液 | 非常に強い酸で腐食性が高く、取り扱いには専門知識と厳重な管理が必須。 | |
| 5. 廃アルカリ(はいあるかり) | 水酸化ナトリウム、石灰、洗浄廃液などのアルカリ性廃液 | 廃酸と同様に腐食性が高く危険な液体で、専門的な処理が必要。 | |
| 6. 廃プラスチック類 | プラスチック製品の破片、合成ゴムくず、ビニールシート、発泡スチロール | 自然分解されにくく、多量に排出されるため環境負荷低減のため適切な処理が求められる。 | |
| 7. ゴムくず | 天然ゴム製品の破片、古タイヤ、ゴム製品の切れ端 | 自然分解されにくく、リサイクルには特別な技術が必要。 | |
| 8. 金属くず | 鉄くず、金属スクラップ、研磨かす、建設現場の金属廃材 | リサイクル可能でも、有害金属含有の可能性から管理が必要。 | |
| 9. ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず | ガラス破片、コンクリート片、アスファルトくず、瓦、割れ陶磁器 | 建設現場などから大量排出され、破砕・リサイクルが主流。 | |
| 10. 鉱さい(こうさい) | 製鉄スラグ、ボタ(石炭燃焼残渣)、鋳物砂 | 有害物質含有の可能性があり特別な処理が必要。 | |
| 11. がれき類 | コンクリート破片、アスファルト破片など | 建設系廃棄物で、多量に発生しリサイクルが推進される。 | |
| 12. ばいじん | 工場排ガス中の煤塵、大気汚染防止装置で捕集された粉塵 | 有害成分含有の可能性があり、飛散防止が重要。 | |
| 排出業種が限定されるもの(7種類) | 13. 紙くず | 建設業の紙建材、製紙工場の不良品、印刷工場の切れ端 | 特定事業から大量発生し、オフィス紙ごみとは区別。 |
| 14. 木くず | 建設業の木材端材、家具工場のおがくず、木製パレット | 特定業種で大量発生し、一般ごみとは扱いが異なる。 | |
| 15. 繊維くず | 建設業の畳やカーペット、繊維工場の糸くず | 一般衣類ごみとは区別される産廃。 | |
| 16. 動植物性残さ | 食品工場の野菜くず、魚内臓、酒かす、油かす | 腐敗しやすく衛生管理が必要。 | |
| 17. 動物系固形不要物 | 食肉処理場の皮・骨・内臓 | 衛生管理上特別処理が必要。 | |
| 18. 動物のふん尿 | 畜産農家の家畜ふん尿 | 悪臭・水質汚染防止のため管理が必要。 | |
| 19. 動物の死体 | 畜産農家で死んだ家畜の死体 | 衛生上特別な処理が必要。 | |
| 上記の19種類のいずれにも当てはまらないもの | 20. 個別指定されたもの | アスベスト含有建材、PCB含有廃棄物など | 高い有害性・特殊性のため厳重管理が義務付け。 |
あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物一覧(12種類)
これらの12種類の産業廃棄物は、どのような業種の会社やお店でも、事業活動を行っていれば発生する可能性がある廃棄物です。
1. 燃え殻(もえがら):石炭の燃えかす、廃棄物焼却施設に残った灰、コークス(石炭を蒸し焼きにした燃料)燃焼後の灰などです。火力発電所、工場、廃棄物焼却施設などで発生します。
- 理解のポイント:一般廃棄物の灰とは異なり、大量に発生したり、特別な成分を含んだりすることがあるため、厳重な管理が必要です。
2. 汚泥(おでい):工場から排出される水を浄化する施設や、下水処理施設(家庭からの汚れた水を浄化する場所)で、水中に混ざっていたものが沈殿してできる泥状のヘドロのことです。建設工事の際に発生する泥水などもこれに該当します。液状か泥状のものがほとんどです。
- 理解のポイント:見た目は泥でも、工場の排水由来の場合、有害物質が含まれている可能性があり、注意が必要です。
3. 廃油(はいゆ):ガソリン、灯油、軽油、重油のような燃料油、機械を円滑に稼働させるための潤滑油(じゅんかつゆ)、金属加工に使用する切削油(せっさくゆ)、その他レストランなどで使用された植物性の油(※工場など事業活動で排出されたもの)などです。工場、ガソリンスタンド、飲食店などから発生します。
- 理解のポイント:引火しやすく(燃えやすく)、水に混ざると環境を汚染する危険性があるため、取り扱いに細心の注意が必要です。
4. 廃酸(はいさん):硫酸、塩酸、硝酸(しょうさん)のような、酸性の強い液体(廃液)のことです。めっき工場(金属の表面加工工場)や化学工場で頻繁に発生します。
- 理解のポイント:非常に強い酸であり、接触すると火傷を負ったり、金属を腐食させたりする危険な液体です。
5. 廃アルカリ(はいあるかり):水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)や石灰のような、アルカリ性の強い液体(廃液)のことです。廃酸と同様に、化学工場や洗浄プロセスを行う工場で発生します。
- 理解のポイント:廃酸と同じく、接触すると火傷を負うほど危険な液体です。
6. 廃プラスチック類:合成樹脂(プラスチックの原料)、合成ゴム、合成繊維(化学的に作られた糸)の切れ端など。製品製造過程で発生する端材、梱包材、発泡スチロール、ビニールシート、ペットボトル(事業所から排出されたもの)など、非常に多岐にわたる事業所から発生する廃棄物です。
- 理解のポイント:自然にはほとんど分解されないため、排出量が大量になると環境への影響が大きく、適切な処理が不可欠です。
7. ゴムくず:天然ゴムを原料として製造された製品のカス。古くなったタイヤのゴムや、ゴム製品の切れ端、ホースなどです。タイヤ製造工場や自動車修理工場などから発生します。廃プラスチック類に該当しないものが対象です。
- 理解のポイント:プラスチックと同様に、自然分解されにくく、リサイクルにも特別な方法が必要とされます。
8. 金属くず:鉄くず、アルミや銅のような非鉄金属(鉄以外の金属)くず、ブリキ板、金属スクラップ、金属研磨の際に発生するカス、建設現場で発生する金属廃棄物などです。金属加工工場や建設業などから発生します。
- 理解のポイント:リサイクル可能なものが多いですが、量が多い場合や、有害な金属を含んだりする場合は、産業廃棄物として厳重に管理されます。
9. ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず:ガラス製品の破片、コンクリート片、道路工事で発生するアスファルトの破片、瓦(かわら)、割れた皿や陶器のカスなどです。建設業や、ガラス・陶器製造工場で多く発生します。
- 理解のポイント:非常に硬くて重く、破断面が鋭利な場合もあるため、一般廃棄物とは分けて処理されます。
10. 鉱さい(こうさい):金属を溶解して取り出す工場(製鉄業など)で、金属以外の部分が残ったカス(溶鉱炉や電気炉のスラグ)、石炭燃焼後のカス(ボタ)、物を研磨する際に発生するカス、鋳物砂などです。製鉄業や鋳造業(金属を型に流し込んで製品を製造する仕事)で発生します。
- 理解のポイント:鉱物由来で非常に重く、有害物質が含まれることもあるため、特別な処理が必要です。
11. がれき類:ビルや家屋を新築、改築、または解体する工事の際に発生する、コンクリートの破片やアスファルトの破片などのこと。これは建設工事から排出されたものに限定されます。
- 理解のポイント:建設現場から排出される廃棄物で、量が非常に多いことや、再利用(リサイクル)が重要であるため、産業廃棄物として分類されます。
12. ばいじん:ボイラー(お湯を沸かす機械)や廃棄物焼却炉などで燃料を燃焼した際に発生する煤(すす)や塵(ちり)(目に見えないほどの小さな粉塵)のことです。大気汚染防止のための施設(集じん装置)で捕集されたものがこれに該当します。
- 理解のポイント:非常に微細で、有害な成分が含まれていることもあるため、適切に管理して処理しないと危険性があります。
排出業種が限定される産業廃棄物一覧(7種類)
これら7種類の産業廃棄物は、特定の事業活動を行っている会社やお店から排出された時にのみ、「産業廃棄物」として扱われるものです。それ以外の会社や、家庭から排出された場合は、一般廃棄物(普通の廃棄物)となるため、ここが特に注意が必要な点です。
13. 紙くず
- 限定業種:建設業、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業。
- 具体例:建設現場から出る紙製の建材のカス、紙製造工場で発生する不良品、印刷工場で発生する紙の切れ端など。
- 注意点:オフィスから排出される通常のコピー用紙や書類は、上記の限定業種ではない会社から排出された場合、「事業系一般廃棄物」(一般廃棄物扱い)となります。
- 理解のポイント:特定の工場や現場では、紙が大量に、しかも一般の紙とは異なる特殊なものが排出されることがあるため、産業廃棄物として分類されます。
14. 木くず
- 限定業種:建設業、木材・木製品製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材を扱う卸売業。
- 具体例:建設現場から出る木材の端材、伐採(ばっさい)時に出るカス、木製の輸送用パレット、家具製造時に出るおがくず(木の粉)など。
- 注意点:一般家庭から排出される木の枝や、古い木製の家具(粗大ごみ)は「一般廃棄物」(一般廃棄物扱い)となります。
- 理解のポイント:木材を大量に扱う会社や建設現場では、木くずが多量に発生し、リサイクルの方法も一般廃棄物とは異なります。
15. 繊維くず
- 限定業種:建設業、繊維工業(紡績業、織物業など)。
- 具体例:建設現場から出る畳やカーペット、繊維製造工場から出る糸くずや布の切れ端、裁断くずなど。
- 注意点:アパレルショップから出る売れ残りの衣類や、一般のオフィスから出る布切れなどは「事業系一般廃棄物」(一般廃棄物扱い)となります。
- 理解のポイント:衣類や布を製造する工場では、大量の繊維が廃棄物となるため、産業廃棄物として区別されます。
16. 動植物性残さ(どうしょくぶつせいざんさ)
- 限定業種:食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業。
- 具体例:食品工場から出る野菜のカス、魚の内臓、油を搾った後のカス、酒かすや醤油(しょうゆ)かす、アミノ酸製造時のカスなど。
- 注意点:レストランや飲食店から出る食べ残しの生ごみは「事業系一般廃棄物」(一般廃棄物扱い)となります。この点がよく間違えやすいポイントです。
- 理解のポイント:食品や医薬品を製造する工場から出るカスは、量が非常に多く、腐敗しやすいため特別な処理が必要です。
17. 動物系固形不要物(どうぶつけいこけいふようぶつ)
- 限定業種:家畜を食肉にするための処理を行うと畜場(とちくじょう)、鶏を食肉処理する食鳥処理場、食肉加工業。
- 具体例:と畜場で発生する動物の皮、骨、内臓など。
- 理解のポイント:特定の場所から発生する動物の体の一部であり、衛生管理上、特別な注意が必要なため産業廃棄物となります。
18. 動物のふん尿
- 限定業種:牛や豚などを飼育する畜産農業(ちくさんのうぎょう)。
- 具体例:牧場や畜産農家から排出される家畜(牛、豚、鶏など)のふん尿。
- 理解のポイント:牧場などから排出されるふん尿は、量が非常に多く、悪臭や水質汚染の原因となることもあるため、特別な管理が必要です。
19. 動物の死体
- 限定業種:畜産農業。
- 具体例:牧場や畜産農家で死んでしまった家畜の死体。
- 理解のポイント:衛生的に問題があるため、特別な方法で処理されます。
上記の19種類のいずれにも当てはまらないもの
20. 上記の19種類のいずれにも当てはまらないもの(その他の産業廃棄物)
- 特定の事業活動から排出された廃棄物で、法律で「これも産業廃棄物である」と定められているものがこれに該当します。
※「13号廃棄物」と呼ばれたりします。 -
具体例:上記の19種類の産業廃棄物を中間処理した際に発生する燃え殻、汚泥など。
- 理解のポイント:法律上は「最後の『その他』」として分類されるため、19種類に当てはまらない廃棄物をまとめて指します。
特に毒性・感染性・爆発性などの危険性の高い物質を含む場合には、次項の「特別管理産業廃棄物」に分類されます。ただし、すべてが危険なわけではありません。 危険性がないものは通常の産業廃棄物として扱われます。
判断が難しいため、排出事業者は専門の業者や行政に相談して適切に処理することが不可欠です。
このように、産業廃棄物の種類は多岐にわたりますが、基本的には「会社やお店の活動で発生した、政令で定められた20種類の廃棄物」と覚えておくと良いでしょう。
ここまでの大枠をさらにまとめ直すと、以下の表になります。貴社から排出される廃棄物が、もし、「以下の表のどれに当てはまるか」と判断に迷う場合は、所在地の市町村役場や、廃棄物処理の専門業者に相談するのが、最も確実な方法です。
| 事業活動? | 産廃20種類? | 判定・備考 |
|---|---|---|
| はい | あらゆる事業活動に伴う12種類に該当 | 産業廃棄物 |
| はい | 排出業種が限定された7種類あるいは13号廃棄物に該当 | 産業廃棄物(排出事業者の業種の確認が必要) |
| いいえ | ― | 家庭系一般廃棄物 |
| はい | 該当せず | 事業系一般廃棄物 |
超要注意!特別管理産業廃棄物とは?厳重なルールで処理しよう
ここまで説明してきた産業廃棄物の中には、通常の産業廃棄物よりも一層危険性が高く、私たちの健康や周囲の環境に深刻な被害を与える可能性がある廃棄物が存在します。これらは「特別管理産業廃棄物(とくべつかんりさんぎょうはいきぶつ)」と呼ばれ、特に厳しい管理と、特別な方法での処理が義務付けられているものです。
特別管理産業廃棄物の種類と危険性の判定基準
特別管理産業廃棄物は、その危険度や有害度によって、次のように分けられます。
1. 爆発性、毒性、感染性があるもの
- 廃油(はいゆ):例えば、火がつきやすいガソリンのように、低い温度で燃え出す「引火点(いんかてん)」が70℃未満の油を指します。引火性が高く、火災や爆発のリスクがあるため、非常に危険性があります。
- 廃酸・廃アルカリ:pH(ペーハー)という酸性・アルカリ性の強さを示す数値が、2.0以下の強酸(レモン汁よりはるかに強い!)や、12.5以上の強アルカリ(石鹸水よりはるかに強い!)など、接触すると皮膚や金属を腐食させるほど腐食性の高いものを指します。
- 感染性産業廃棄物(かんせんせいさんぎょうはいきぶつ):病院やクリニックなどの医療機関から排出される、病気を引き起こす「病原体(びょうげんたい)」が含まれている可能性のある廃棄物を指します。例えば、使用済みの注射針、血液が付着したガーゼ、手術で摘出した臓器などです。これらは、接触などにより病気が感染する可能性があるため、極めて危険です。
2. 特定の、特に危険な物質を含むもの
- 廃PCB等(はいピーシービーとう):PCB(ポリ塩化ビフェニル)という、非常に毒性が強い化学物質が含まれている古い油(トランス、コンデンサなどに使用)や、PCBで汚染されてしまったものを指します。この物質は過去に電気製品などに使用されていましたが、現在は製造が禁止されており、人体や環境への影響が非常に深刻です。
- 石綿含有産業廃棄物(せきめんがんゆうさんぎょうはいきぶつ):アスベスト(石綿)という、過去に建材として使用されていた繊維状の物質が含まれている建材(スレート、保温材など)や製品などです。アスベストの繊維は目に見えないほど小さく、吸い込むと肺がんや中皮腫といった重篤な肺の疾患を引き起こす危険性があります。
- 重金属などを含むもの:水銀、カドミウム、鉛、六価クロム(ろくかクロム)など、毒性のある「重金属(じゅうきんぞく)」が、定められた基準値を超えて含まれている汚泥、鉱さい、燃え殻、ばいじん、廃酸、廃アルカリのことです。これらの金属は、土壌や水質汚染の原因となり、体内に入ると健康被害を引き起こす可能性があります。
- 農薬や有機塩素化合物など:ダイオキシン類やシアン化合物(青酸カリなど毒物)のような、特に毒性の高い化学物質が、定められた基準値を超えて含まれている廃棄物。これらは微量でも強い毒性を示すため、厳重な管理が必要です。
これらの特別管理産業廃棄物は、通常の産業廃棄物とは異なり、保管(一時的な貯蔵)、収集運搬(集めて運ぶこと)、処分(最終的な処理)において、さらに厳しいルールが定められています。
産業廃棄物で捨てられないものは?特別管理に特に注意!
「産業廃棄物で捨てられないもの」というよりも、「通常の産業廃棄物と同じ方法では捨てられないもの」と考えるのがより正確な表現です。
特に次のものは、特別な許可と、廃棄物を安全に処理するための専門的な技術を持った業者に委託する必要があります。
- PCB廃棄物:これは特別な処理施設が日本国内に限られた場所にしかなく、非常に厳重な保管や処理のルールが定められています。誤った処理をすると、深刻な環境汚染につながる危険性が高く、高額な賠償責任を負う可能性もあります。
- 廃石綿(アスベスト):アスベストは、飛散防止対策が絶対に必要であり、作業員の安全確保が最優先されます。厳重に梱包(こんぽう)して、定められた最終処分場(さいしゅうしょぶんじょう)でしか処分できません。吸い込むと人体に重大な健康被害を及ぼすため、特別に注意が必要です。
- 水銀使用製品廃棄物:水銀灯、蛍光灯、体温計、血圧計など、水銀が含まれている製品は、適切に処理しないと、水銀が大気中や水中に拡散して、環境汚染や健康被害を引き起こす可能性があります。通常のガラスくずなどとは分けて、専用の処理方法で回収・リサイクル・処分されます。
もし、貴社からこれらの特別管理産業廃棄物が排出される可能性がある場合は、必ず専門の処理業者や、行政の窓口に相談して、正しい処理方法の指導を受けることが不可欠です。誤った処理をしてしまうと、環境を汚染したり、法律で非常に重い罰則を受けたりすることになるでしょう。
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廃棄物が出たらどうする?産業廃棄物の正しい処理方法と会社の責任
産業廃棄物を排出する事業者(事業活動を行う者)は、その廃棄物の処理に関して「排出事業者責任(はいしゅつじぎょうしゃせきにん)」という、非常に重い責任を負っています。
ここでは、廃棄物を排出した事業者が守らなければならない法規制と、実際の処理の流れ、そして信頼できる業者を選ぶためのポイントについて解説していきます。
排出事業者の法的責任と遵守すべき事項
廃棄物処理法では、「会社やお店の活動(事業活動)によって発生した廃棄物は、その会社が自分自身の責任で、適切かつ適正に処理しなければならない」と定めています。これが排出事業者責任という重要な原則です。
具体的に、廃棄物を排出した事業者は次のことを遵守する必要があります。
- 正確な分類:自社から排出される廃棄物が、一般廃棄物なのか、産業廃棄物なのか、そして20種類のどれに該当し、特に危険な特別管理産業廃棄物ではないかを正確に判断することが求められます。
- 重要性:分類を誤ると、法令違反となったり、環境を汚染したりする可能性があるためです。
- 適切な保管:廃棄物の種類に合わせて、安全な保管場所を設け、廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が発生したりするのを防ぎ、適切に管理することが求められます。
- 重要性:保管中の事故防止や、周辺環境への迷惑を防ぐためです。
- 許可を持った業者への委託:自社で廃棄物を処理できない場合は、都道府県の知事(または政令市の市長)から「廃棄物の運搬や処分を行って良い」という許可を受けている産業廃棄物収集運搬業者(廃棄物を収集・運搬する業者)と、産業廃棄物処分業者(廃棄物を処分する業者)に処理を委託することが求められます。
- 重要性:無許可業者に委託すると、不法投棄などにつながり、委託元である事業者も罰則の対象となるためです。
- 契約書の締結:廃棄物の処理を委託する際には、必ず「どのような廃棄物を」「どのように」「いくらで」処理してもらうか、責任範囲はどこまでか、などを明記した契約書を交わすことが求められます。
- 重要性:後々のトラブルを防ぐためです。
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付:どのような種類の廃棄物を、どれくらいの量、どの業者が運搬し、どこで、どのように処分されたか、などを記録した「マニフェスト」という書類を業者に交付し、廃棄物の処理状況をしっかりと把握・管理することが求められます。
- 重要性:廃棄物が最終的にどうなったかを確認するための「廃棄物の追跡記録」であり、不法投棄防止にも極めて重要です。
- 処理状況の確認:廃棄物の処理を委託した業者が、法令通りに処理を行っているか、定期的に確認することが求められます。
- 重要性:万一、業者が不適切な処理を行った場合でも、廃棄物を排出した事業者に責任が及ぶことがあるためです。
これらの義務を怠ると、不法投棄(廃棄物を勝手に捨てること)や不適切な処理として、廃棄物を排出した事業者も厳しい罰則の対象となります。
信頼できる産業廃棄物処理業者をどう選ぶ?
不法投棄などのリスクを回避し、適切な廃棄物処理を行うためには、信頼できる産業廃棄物処理業者を選ぶことが極めて重要です。次のポイントを参考にしてください。
- 許可証の確認:
- 「産業廃棄物収集運搬業(廃棄物を収集・運搬する事業)」や「産業廃棄物処分業(廃棄物を処分する事業)」の許可を、都道府県の知事(または政令市の市長)から適切に受けているか、必ず確認しましょう。これは「事業を行うための免許」に相当します。
- 許可証に記載されている「処理できる廃棄物の種類」「運搬・処分可能な範囲」「一時保管場所の有無」「許可の有効期限」が、自社の排出する廃棄物の種類や量と合致しているか、詳細に確認しましょう。
- 実績と評判:
- 長年の事業実績があり、地域での評判が良い会社か。インターネットでの口コミや、同業者からの評判なども参考にすると良いでしょう。
- 過去に法的な違反や行政からの指導を受けたことがないか、調査してみましょう。
- 施設の見学:
- もし可能であれば、実際に廃棄物を処理する工場や、一時的に廃棄物を保管する場所を訪ねて、設備が整っており、廃棄物が適切に管理されているかを目で確かめてみましょう。
- 工場内が整理整頓されているか、廃棄物が安全に保管されているか、火災防止対策はされているか、などをチェックすると良いでしょう。
- 情報公開の有無:
- 会社のウェブサイトなどで、許可証の情報や事業内容、料金体系などが分かりやすく公開されているか確認しましょう。
- 国が認定している「優良産廃処理業者認定制度」という、特に優れた処理業者であることを示すマークを持っているかどうかも、信頼性を判断する上で大切な基準となります。
複数の業者から見積もりを取得し、料金だけでなく、提供されるサービスの内容、対応の丁寧さ、環境への配慮なども総合的に比較検討することをお勧めします。
産業廃棄物を集めて運んで処分するまでの流れ
産業廃棄物の処理は、おおよそ次のような流れで行われます。
1. 排出(排出事業者):事業所で発生した廃棄物を種類ごとに分別し、一時的に事業所の敷地内で法令通りに保管します。
2. 収集運搬(収集運搬業者):許可を持った収集運搬業者が、廃棄物を排出事業者の場所から、中間処理施設や最終処分場まで運搬します。
3. 中間処理(処分業者):
- ここでは、廃棄物を破砕(細かく砕く)、選別(種類ごとに分ける)、焼却(燃やす)、脱水(水分を取り除く)などを行い、廃棄物の減量化や、資源として再利用可能なものの回収を行います。
- 有害物質が含まれる廃棄物の場合は、無害化処理も行われます。
4. 最終処分(処分業者):
- 中間処理で減量された廃棄物や、リサイクルできなかった廃棄物を、埋立処分場などで最終的に処分します。
- 近年では、埋め立てる廃棄物の量を減らし、リサイクルを一層推進しよう(3R:リデュース・リユース・リサイクル)という考え方が非常に重要視されています。
廃棄物を排出した事業者は、自社の廃棄物が最終的にどうなるのかまでをしっかりと把握し、適正な方法で処理されるように最後まで管理する責務があります。
産業廃棄物マニフェスト(管理票)って何?なぜ重要?
マニフェスト(産業廃棄物管理票)制度は、産業廃棄物が事業所から排出され、最終的に処分されるまでの一連の流れを記録・管理し、不法投棄(廃棄物の無許可投棄)を防ぐための、非常に重要な仕組みです。廃棄物の「追跡レポート」と例えられます。
- 目的:廃棄物を排出した事業者が、処理を委託した廃棄物が適切に処理されたことを確認し、不法投棄などを未然に防止することを目的としています。
- 交付義務:産業廃棄物の処理を他の業者に委託する際には、廃棄物を排出した事業者がマニフェストを業者に交付することが、法律で義務付けられています。
- 種類:紙のマニフェストと、インターネットでやり取りする電子マニフェストがあります。特に電子マニフェストは、処理状況を迅速に確認できたり、書類業務の効率化が図れたりする便利なシステムです。
マニフェストに記載する事項(主なもの)
- 廃棄物を排出した事業者の名称や所在地
- 産業廃棄物の種類と量
- 廃棄物を収集・運搬する業者の名称、運搬先の情報
- 廃棄物を中間処理する業者の名称、処分先の情報
- 最終的に廃棄物を処分する業者の名称、最終処分場所の情報
マニフェストは、廃棄物を業者に引き渡してから、最終的に処分されるまで、関係するそれぞれの業者が書類を確認して署名(または情報入力)し、最終的に廃棄物を排出した事業者に控えが戻ってくることで「廃棄物の処理が完了した」と確認されます。廃棄物を排出した事業者は、戻ってきたマニフェストの控えを5年間保管する義務があるため、適切に管理してください。
産業廃棄物に関する法律の基本と、違反した時の罰則
産業廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」という法律に基づいて行われています。この法律は、廃棄物が適正に処理されるよう推進し、生活環境を清潔に保ち、国民の健康な生活を守ることを目的としています。
もし廃棄物処理法に違反してしまった場合、廃棄物を排出した事業者、廃棄物を収集運搬した業者、廃棄物を処分した業者などに対して、非常に重い罰則が科せられます。
- :5年以下の懲役(刑務所に入ること)または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方です(法人に対しては3億円以下の罰金が科される場合もあります)。
- 無許可営業(許可なしで廃棄物の処理を行うこと):5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方。
- マニフェストを交付しない・虚偽の情報を記載すること:1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
- その他、廃棄物の保管基準違反、処理委託基準違反などにも罰則が規定されています。
これらの罰則は、企業の信用を大きく損ねるだけでなく、事業継続にも重大な影響を与えます。
廃棄物を排出した事業者は、法令の基本的な知識をしっかりと身につけ、常に法令遵守を最優先に考えて廃棄物の処理を行う必要があります。
まとめ:貴社の産業廃棄物と向き合って、正しい処理を始めましょう!
この記事では、産業廃棄物の基本的な意味から、一般廃棄物との違い、どのような種類の廃棄物が産業廃棄物になるのか(20種類ありました)、特に危険な特別管理産業廃棄物への注意点、そして正しい処理方法と排出事業者の責任までを解説しました。
産業廃棄物を理解して、環境保護に貢献しましょう!
もう一度、産業廃棄物とは「会社やお店の活動によって発生した、法律で定められた20種類の廃棄物」です。そして、その処理は廃棄物を排出した事業者が、最初から最後まで責任を負うという「排出事業者責任」という大切な原則を忘れてはなりません。
この記事で学んだ知識を活かして、貴社から排出される廃棄物がどの種類に該当するのか、そしてどのような方法で処理すれば良いのかを、自信を持って判断できるようになることが目標です。
正しい廃棄物処理は、単に法令を遵守するだけでなく、企業が社会に対する責任(CSR:企業の社会的責任)を果たす上でも、極めて重要です。環境負荷を低減したり、企業のイメージ向上に繋がったりすることにも繋がります。
もし、自社の廃棄物処理について、まだ「どうすれば良いのだろう?」という疑問がある場合や、専門的な判断が必要な場合は、遠慮なく所在地の市町村役場や、信頼できる産業廃棄物処理業者に相談してみてください。
貴社の廃棄物と真剣に向き合い、正しい処理への第一歩を踏み出しましょう。それは、環境保護に貢献する重要な一歩となるでしょう。









